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“着信 ユチョナ”
着信を切るボタンを押そうとして、
誤って通話ボタンを押してしまった。
内心舌打ちをして。
それでもケータイを耳に当てる。
《もしもーし》
背中から聞こえる声に遅れて、
ケータイから聞こえる音声。
下手なエコーがかかった様で、とても耳障り。
《…チャンミ?座ったまま寝てる?》
「……………そんな訳無いでしょう。バカじゃ無いですか?」
《…あ、やっと喋った》
ククッと笑った声と振動が伝わってくる。
《……なぁ。まだ怒ってる?》
探るような声音。
「…」
《…怒ってるんだ》
またあからさまな溜息を一つ。
正直いえば、怒りはとうの昔に無くなってる。
ただ、性格上。
素直に切り出せない。
喉まで出かかった「怒っていない」という言葉は、そのまま身をひそめる。
《…あ、そえばジェジュが今デザート作ってたよ。食べに行こ?》
あ、それはちょっと食べたい。
《シアが『チャミが食べないなら僕がチャミの分貰って良い?』って聞いてたぞ?》
シアヒョン…そんな事したら…ただじゃ済まさないです。
《あ…あとチャンミに持ってきたのあるんだ》
背後で動く気配。
触れていたものが無くなり、
ほんの少し汗ばんでいる背中に冷たい空気が触れた。
《…はい、コレ》
その言葉と同時に、首筋にありえないぐらい冷たいモノがピタリとくっついた。
「ッッッ!!!!な、何をッッッ!!!」
身を竦め、慌ててその冷たいモノを払いのける様に身体を反転させる。
「………んッ…!!」
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