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「それでね、話なんだけど……」
きた。本題だ!!
「あのね、竹下君。私、前から……」
一度俯いて、しばらく沈黙した。
やがて決心したように顔を上げる。
「……私、高津君のことが好きなの……キャッ、言っちゃった~!」
……んん。あれ。なんだろう、この場に相応しくない全くの第三者の呼称が我が聴覚を震わせたのだが。いや待て。あいや待たれぃ。
……聞き間違いか。聞き間違いだよね。絶対そうだ。最近耳掃除してなかったし、ゴミが詰まってて良く聞き取れなかったんだ多分。
「ごめん、ちょっと良く聞こえなかった、だからもう一回言って」
すると、宮田さんは顔をムッとさせながらもう一度口を開く。
「だから、高津君のことが好きなの」
「う……うん、俺って竹下」
「知ってるよ! 私は高津君の事が好きなの、それを竹下君に聞いてもらってるの!」
彼女の顔から段々苛立ちが見え隠れしてきている。
……つまり、僕の事が好きではなく、高津君が好きだと。
「……あのさ、何でそのことを俺に言うんだ、高津に言えよ高津に……」
もう、期待してた俺、バカ……。つーかこの女も紛らわしい手紙出すんじゃねぇよ……。すっかり有頂天だった十分前の俺がお馬鹿なピエロみたいじゃないか。
なんて、この女からしてみれば八つ当たりでしかないような思考で頭がいっぱいだった俺に、宮田さんは説明を入れた。まあ今の精神状態じゃ半分も耳に入らんだろうが。
「そのことなんだけどね、私高津君と面識ないんだ。それでね、友達に相談したら、竹下って人が高津君と仲が良いって聞いたからさ、君に相談しようとおもって」
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