告白、そして勃発

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 例えば試験の時、問題文を読み間違えて見当違いな答えを出してしまったり、友人のズボンを下ろしてやろうとしたらパンツごと引っ剥がしてしまったり。  失敗ってのは、誰でもしてしまうものだ。仕方ないのさ人間なんだもん。  そもそも一週間で創られた世界なんて不完全に決まってるしそんなお馬鹿ちゃんな神様の下に生まれた僕ら人間なんかもっと不完全なはずだ。だって土台が不完全なんだものっ。  だから今回起こってしまった失敗は断じて俺のせいではない、全人類規模で考えて仕方のないことなんだ、そうにきまってる。……言い訳じゃないぞ、断じて──  昇降口に着いた俺と高津の前には、人の集団がわらわらと蠢いていた。別段おかしいことではない、毎朝の事だ。  うちの学校は異常な程の生徒数で有名だ。そのおかげで、毎朝の昇降口から下駄箱にかけては人が入り乱れている。  人の群れの中をかき分け、何とか自分の下駄箱の前にたどり着いた俺と高津。 「なんつーか、どうにかなんねーのかこの大混雑は」  高津が乱れた髪型を直しながら愚痴る。 「そんなこと言ったってさ、生徒削減でもしない限り解決しない問題だぜ。大切なのはいつだって全てを許す寛大な心だよ、ラブ&ピースッみたいな」  言いながら下駄箱を開け、上履きを取り出す。  ……!  なんだこの手紙!? 「問題児が平和を謳っても全然説得力ないんだよ、って……おいどうしたそんな固まって。おっ、その手紙もしかして……!」  俺の異変に気付いたのか、下駄箱を覗き込んでくる高津。 「ま、待て待てあいや待たれよ、まだわからん。もしかしたら日々調子に乗っている俺に対する先輩方からの果たし状かもしれないからな」 「そんなこと言ってるわりには顔、にやけてるぞ……。てか早く開けろって」  クソ、バレたか。手紙の内容は大方予想がついている。何故なら、手紙の封をしているシールがハートマークだからだ!  もう確実にあれだよね、あれ。  もしこれでホントに果たし状だったら俺は送り主の精神状態を心配する。  んなことあるわけないとわかってての冗談である。
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