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「うるさい、んじゃあ開けるぞ……」
先輩方の精神異常の可能性など微塵にも信じちゃいない俺は期待に胸を躍らせながらぺりぺり、っと丁寧にシールを剥がした。さらばハートよ。
さあ、いざ解禁。
──────────
竹下直人君へ
用事があるので、今日の放課後、屋上へ『一人で』きてください。待ってるからね。
宮田絵里より
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やはりキタよ。中学での安っぽい付き合い、そして別れがあってから、今までほとんど音沙汰のなかった俺の恋愛事情もこれで大きく盛り上がりをみせてきた!
ありがとう神様!
「マジかよ……っつーか宮田って言えば……うーん」
「なに、知ってる情報は全て吐き出せ。ついでにこの間貸した俺のマル秘DVDの代金も吐き出せ」
──
下駄箱から俺たちの教室に行き着くまでの数分の間、俺は高津に、彼女について詳しく聞き出した。
何で友達でもない人の事をこんなに詳しく知っているんだコイツ。
まず、彼女は少々だが小柄。とはいっても平均ちょい下なのだが本人は異様に気にしてるらしい。
明るい、物怖じしない性格。
髪型はショートカット。
とりあえず彼女の情報はこんなもんか。
高津のストーカーor変態疑惑は夜にでもポリスメンに連絡するとして、それはさておきいったい自分のどんなとこに惹かれる要素があったのかかなり気になるが、そんなのは付き合った後にでも聞けば良いか。
えぇ、勿論断る理由はないさ。
存分に青春を満喫させて頂きます。
──結局、この時の浮かれた気持ちは、放課後一気に飛び去ることになる。……はぁ、俺の純粋なときめきを返せ……いや、俺のせいだけども──
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