A love robber

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「そんな、悪いです! それ、一つ百円もするのに」 「いいんですよ。どうせこれ廃棄ですし、買ったわけじゃありませんから」  遠慮するにしても、どこか的外れな受け答えについ笑ってしまう。  彼女の目が僕の目とおにぎりとを行き来している。 「……本当にもらってもいいんですか? それじゃあ、いただきます」  おずおずとした手つきで受けとる彼女。しかしなかなか袋が開けられない。  四苦八苦する姿に、不器用なのだなと思っていたのだが、 「実はこういうの初めてで、……お願いしてもいいですか?」  コンビニのおにぎりが初めてだとはめずらしい。実はいいとこのお嬢さんだったりするのだろうか。確かに着ているワンピースも高価なものに見える気もする。
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