A love robber

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「なんだそんなことなら任せてください。こんど一緒に食べましょうよ。僕、おごりますから」 「……」  突然だまりこんでしまった彼女に僕ははっとした。「そんなことなら」はまずかったみたいだ。 「食べ物につられるほど私、安い女じゃありませんから」  きっと貧乏くさい自分のセリフがたまらなく恥ずかしかったのだろう。顔を真っ赤にさせて走り去っていく彼女の手の中に、いつの間にとったのか、未開封のおにぎりが握られていた。  もしやと思い、傍らのコンビニ袋の中を確認してみる。  ――これはまいったな。 「楽しみにしてたのにな、しぐれ……」  どうやら彼女は、しぐれのおにぎりと、ついでに僕の心まで一緒に持っていってしまったようだ。
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