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王国戦力の主力は“命をもたぬ”兵、放たれる矢と類を同じくする消耗品。戦法は、それの大量投入による物量戦法。
敵国のこの戦法をリオはこう評価する。
美しくない、と。
しかしながら彼はまた、弱者の語る正義が無益なものであることも知っている。
アモン共和国の時代は終わろうとしている。
ひどく破損した赤い鎧を着けた敵兵が、リオの練達の部下たちを次々となぎ倒してゆく。
リオはその一人の敵を静かに見据え、きたる決戦に備え腰に下げるサーベルを握った。
壮麗に節くれだった手に込める力が、じわりと柄に伝わってゆく。
瞬間、一陣の風とともにリオの目前で兵士がはぜた。
薄れゆく土煙の中でただ一人たたずむ敵兵は片目の女であった。
リオは素直に感嘆の声を上げた。
「かつて無敵を誇った我が第八連隊。くしくも破るは単機の隻眼」
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