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「先生~、今日の分取りに来たよぉ。」
「柏木君、いつもすまないね…。」
「気にしないで~?僕達親衛隊はぁ、会長様のお役にたてて嬉しいからぁ。」
軽く首を傾け、上目遣いに相手を見て微笑みかける。
役にたてて嬉しい?
ないない。
俺が奴の仕事を好き好んでやるわけない。
本当は凄く面倒くさい。
だが、こいつの顔を見るとそうゆうのも言えなくなるんだよ。
顔は青白く、眼鏡越しでも分かるくらいにくっきりと隈が出ている。
それに、この間見た時より若干窶れてる気がするし…。
今俺が話しているのは、生徒会顧問の先生だ。
奴等が仕事を放棄してから、生徒会の仕事を一人でやっている。
たまたま俺が発見し、先生の様子に哀れみを感じて他の親衛隊の奴等に持ち掛けたわけだ。
生徒会連中は、俺等の努力を知らず親衛隊ウゼェとかぬかしてるんだぜ?
ウザいったらこの上ねぇだろ。
「柏木君が他の親衛隊の子に持ち掛けてくれたおかげで、凄く助かってる。有難う。」
「どういたしましてぇ。………先生~、あんまり無茶しちゃダメだよぉ?」
「えっ……?」
「隈、できてるよぉ?」
俺はプリントを持っていない方の手で、先生の目元を軽く触った。
そんな俺の行動に、先生は俺の顔を見て驚きの表情を浮かべている。
その顔があまりにも間抜け面だったので、クスリと笑みが零れた。
「無理しないでねぇ?それじゃあ、終わったら持ってくるからぁ~。」
くるりと身体を反転させ、職員室を後にした。
先生が何か言っていたが無視だ無視。
早く終わらせて帰りたいからな。
人のいない、放課後の廊下に俺の足音が反響する。
さぁ行きましょうかね…。
隊員の待つ、会議室に……。
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