プロローグ

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「ハァ、ハァ……」  僕はその手を力強く握って走る。  柔らく小さなその手は温かく、そして僕の手を強く握り返してくれている。 「大丈夫かい?」 「うん」  透き通るような声でしっかりとした返事をする彼女は、そのあどけない顔に微笑みを浮かべてくれている。  僕には後悔はなかった。 ……もうどれくらい走ったのだろう。そんな事もわからない程走った。  追っ手ももう来ない。 「……ハァハァ、少し休もうか?」 「うん」  僕らはビルの陰にしゃがみ込んだ。  彼女にはきっと、この先僕らがどうなるのかは解っているのだろう。  それでも彼女はこの僕に着いて来てくれた。  だから僕は暴挙と判っていても彼女を連れ出したかった。  彼女が神であるという事にも構わず……
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