‐声‐

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 帰ってから充電コードに繋ぐ。充電ランプの点灯を確認してから電源ボタンを長押しし、そのままベッド寝転んだ。  退屈だ。眠るまでの時間が長い。ここ三ヶ月であらゆる暇つぶしを試してみたが、もともと暇になる経験が少なかったからかあまり思い付く物もなく、その上どれもすぐに飽きてしまった。  大きな欠伸がひとつ出た時、携帯電話の起動が終わった。念のため着信を確認してみる。二日前の深夜に知らない番号から二回の着信があったらしい。  俺は知らない番号からの電話でも割と躊躇せずに掛け直せる。その内詐欺にでも遭うかもしれないが、疑う心をきちんと持っていれば問題はない。この日も例外ではなく、慣れた動作でその番号を呼び出し発信した。 プルルル…プルルル…  一回、二回、三回、四回目の途中で繋がった。 「もしもし、」  どこか儚げで澄み渡った、あの人の声だった。
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