4人が本棚に入れています
本棚に追加
/19ページ
体のあちこちが痛む。
当たり前だ。
負け戦だと分かっていたのだから。
我が国の勢力は敵国を遥かに下回る。
ボロボロの体に鞭を打って立ち上がり、再び呪文を唱えれば、巨大な光が敵を葬っていく。
焼けた屍肉の臭いが鼻に付いた。
今、自分は死んだ様な顔をしているに違いない。
仲間は次々に倒れ、私の周りには数人の剣士が詠唱時間を稼いでいるが、それも時間の問題だろう。
剣士達もついに膝を付く。
あぁ…もう魔法だけに集中が出来ない。
詠唱しながら杖で敵の剣を受け止め、小さな魔法を確実に相手に決めていく。
何故私はこんなに必死なのか。
相手にとって見れば、数十人相手に魔術師だけが挑む等、滑稽な姿に映るに違いない。
何故こんなに必死かなのか。
決まっている。
我が国、ルスランの為だ。
死者を蘇らせ、酷使する様な非道の国なんかに負けられないからだ。
死者を蘇らせるなど、言語道断。
人の道に反している。
そんな奴らに負けたくない。
何故お前らはそれに付いて行くのだ。
納得等出来なかった。
最初のコメントを投稿しよう!