哀れな女

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「なぜだ、なぜラルクは喋れないんだ!?」 「あ、あなた…」 「…うあぁー」 ラルクは喋れなかったのです。 最初は耳が聞こえないのかと思いましたが、ラルクは声をかければ反応します。 知能テストも行いましたが、問題ありません。 なぜか、なぜか喋る事だけができなかったのです。 「どこも問題がないんだろ!?なぜなんだ!?」 「あなた、落ち着いて…」 女は夫の腕にしがみつきました。 すると、夫はラルクを蹴り飛ばすと、女を睨みつけました。 「気味が悪い!!マキ、お前…お前が悪いんじゃないのか!?」 「え?」 「お前がしっかりと産んでやれば!!こんな気味が悪い子供に!!ならなかったんだ!!」 そう言って夫は妻である女―――マキとラルクに、暴力をふるうようになりました。 夫は位が低いとはいえ、騎士団に所属しています。 そんな自分の子供が、障害があるのを認めたくなかったのです。
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