餓鬼講習

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「ハイ!みんなも早く席に着いて~。席順は、いつもの教室と同じだからね~。みんながちゃんと座ったら先生、説明しま~す。みんな気になってるでしょ?………噂の宿題」 少し意地悪みが掛かった顔でニコリと柏木が笑って言う。 柏木が放った噂の宿題と言う言葉に教室は一瞬騒めくが、クラスメイトの誰しもが気になっているらしく、皆は素直に自分の席へと座る。 教室を見渡し全員が自分の席に座った事を確認した柏木は、一呼吸おいて噂の宿題の説明を始めた。 「じゃ、みんな気になってる宿題の内容を言う前に…各人、机の上にあるリストバンド型の腕輪を着けてね。それは個別認識キーと言って、目の前にあるPCを起動させる鍵なの。各人のPCは、そのキーと本人が一致しない限り使用出来ないシステムになってるから、他の人が自分のPC以外を使おうと思っても使えない様になってるの。凄いでしょ!?さっ!みんな腕輪を着けてPC起動してみて?夏休みの宿題はPC起動の後で説明するからね~」 クラスメイトは皆、興味津々と言った感じで腕輪をはめ、PCを起動させた。 全員がPCを起動させた事を確認した柏木が、再度口を開く。 「ハイ!みんな無事にPCを起動出来たみたいだから、今から夏休みの宿題を説明するわよ!?……ズバリ!夏休みの宿題は、噂通りたった一つだけでーす!」 大袈裟なリアクションで柏木が言うと、教室からは一瞬にして歓喜の声が上がった。 が、その後に柏木が言った説明にて、一瞬にして皆が沈黙となる……。 「ハイ静かに~!今から詳しい説明を言うから、みんなちゃんと聞く事!さて…皆さんは今からこの教室で40日間ほど監禁され、夏期講習を受けていただきます。その間、毎日午後からテストを行いますが、指定された点数以上を取らないと食べ物を与えません。また、1教科でも35点以下の赤点を取ると、処罰を受けてもらうからね?学生の仕事は勉学だから、つまり働かざる物は食うべからず!って事ですね。今、皆さんが着けた腕輪には、高威力のスタンガンが装備されてるの。先生達に反抗やクラスメイトに暴行行為、テスト中に不正行為を犯すと、電流が流れるシステムになってて、違反理由により死ぬ迄電流を流したり猛毒を腕輪から流す事もあるから注意してね。みんな頑張って勉学に励む事。先生は期待してますよ~!」 俺達に課せられた、ただ一つの宿題とは……… 生存だった。
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