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ムシムシとした鬱陶しい梅雨も随分前に終わり、さらに蒸し風呂のような極暑の7月。
キラキラなんて可愛らしいモンじゃなく、ギラギラして肌を貫通しそうな勢いの日差しを具現化すると、オレンジ色した稲妻マークだろう。
この時期ばかりは自然の恩恵でもある太陽をお断りしたい。
「ぅあ~~マジあ゙ちぃ~。ダリィ~~。」
この暑さによる不愉快指数を更に上昇させるかの様なダミ声で、俺の左隣の席に座った親友の原田健吾が机に突っ伏して唸る。
まぁ…アイツが座っている席は、直射日光がガンガン当たる窓際の席だから仕方ないっちゃ仕方ないが……。
「確かに暑すぎだよな…。いくら夏休み前の7月だからって、こんな暑かったか?」
「ここまで暑かぁ~なかっただろ…異常気象ってヤツじゃね!?どーでもいいけどさー。」
「ったく…教室ぐらいクーラー設備しろってんだよ……なぁ?」
机に突っ伏したまま顔を上げる事もなく、原田は言う。
俺は、ふぅ。と溜め息を答え変わりにし、不服そうに文句を言う原田を横目で見る。
15歳にもなると、多少は色気づいたのか、校則ギリギリまで染めた焦げ茶色の髪は、汗によりピッタリと額に張り付いている。
よっぽど暑いのか、夏制服のカッターシャツは上から3つ目のボタンまで開放し、その胸元からは、15歳らしい余計な筋肉や脂肪がついてない締まった身体が見え、その引き締まった身体に俺は少し嫉妬をしてしまう。
つまり、俺は……ポッチャリ系って訳だ。
まぁ、俺は運動より勉強の方が多少得意だから、この体型は仕方ない。
と、自分に言い聞かすしかない……。
「あ~~暑ちぃ…。早く帰りてぇ…」
「まぁ、そう言うなって。今日が終われば明日から夏休みだぜ?もうちょいの辛抱じゃん。」
「まぁな…。」
相変わらず机に突っ伏して気だるそうに答えた原田だったが…何を思ったか、急に身体をガバッ!っと起こして俺に言う。
「そうだ純!知ってるか?俺も噂でしか聞いてねんだけど…」
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