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「ちょ!待ちぃ雅ぁ!!誰が夫婦やねん誰が!!アホな事言いなやぁ!!」
ほらみろ、じゃじゃ馬浪花娘の香織が過剰反応したじゃないか。
当然、これに連鎖反応するのは
「勘弁しろよ雅人~。こんな男か女か分かんねぇ奴と夫婦になるぐらいだったら、俺は学校の近くでうろついてる野良犬と結婚するね。マ・ジ・で!!」
「アンタひょっとして結婚出来るとか思てんの?ホンマめでたい奴っちゃな~。アンタ一遍、鏡で自分の顔見てみぃ!鏡割れるでホンマ!!」
「はぁ!?なに言ってんのお前!マジ意味不明なんですけど~。」
「アホに分かりやすぅ言うたら不細工っちゅう事っちゃ!」
「っざけんなテメェ!!」
最早、火に油…いや、火にニトロである。
臨戦態勢だった二人を抑止する為に立ち上がってはみたが、瀬尾の余計な行動により暴走化した二人をどうする事も出来ず、俺の横目に見える桜川さんは、どうしたらよいか分からない様子らしく、更にオロオロが激しくなっている。
不謹慎にも俺は、そのオロオロした姿が何だか小動物みたいで可愛いと思ってしまったが…。
「せ……瀬尾くぅん。な、何とかしてよぉ~」
あ……俺、もう頼られてない!?
そりゃないぜ桜川さん…どうみても火にニトロ注いだのって瀬尾の野郎じゃん。
そんなウル目で瀬尾の事を見ないでくれよ桜川さん…
俺は、何も出来ない自分の不甲斐なさに対するイライラと、桜川さんの瀬尾に対するウル目に嫉妬し、瀬尾をジロリと睨んだ。
俺と桜川さん、そしてクラスメイトの視線を知ってか知らずか、瀬尾は外人のリアクション宜しく軽く目をつむり、肩をすぼませながら「フゥ、ヤレヤレ…」と言わんばかりの態度を取り、暴走化した二匹の野獣を止めに入る。
「盛り上がってる所で悪いんだがお二人さん、夏祭りは俺も嫌いじゃないん方なんだけどねぇ~。夏祭りするにゃ~浴衣姿の似合う美人さんが必要不可欠ってモンだろ?」
「そこで涙浮かべて座ってる美人さんの様な人が……さ」
オ……オイオイ、何を言い出すのかと思ったら、いきなり何言ってんのコイツ。
瀬尾の明らかに場違いな発言に、鳩が豆鉄砲を食らったかの様、呆気に取られた顔で瀬尾を見る純、健吾、香織の三人。
真由美に至っては頬を紅色に染める始末。
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