餓鬼講習

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イヤイヤ瀬尾君キミね、普通「喧嘩は止めろ」とか「いい加減静かにしろよ」とかだろ?この場面ではさ……。 それをイキナリ美人さんが~~とか有り得ないぞマジで。 三崎の思いを知る由も無く、瀬尾はまんざらでもない表情を浮かべ周囲を見渡す。 瀬尾の場違い極まりない発言と行動により、一瞬にして静寂に包まれた教室だったが、やがて周囲からクスッやグフッなど何とも言えない情けない笑い声が聞こえて来た所で、今にも笑い出しそうに頬をピクピクと引き釣らせた香織が瀬尾に対して言う。 「せ……瀬尾?アンタ…気でも狂うた?」 「ん!?俺は至って普通なんだけどねぇ~。強いて言えば、俺が狂ってんのは……愛」 などと軽くWink混じりで香織に向かって言う瀬尾。 再び訪れる沈黙かと思いきや…! 「…………瀬尾くぅんカッコいぃ」 真由美である。 マンガに例えると、目がハートマークになっている真由美である。 それどころか両手を豊満な胸の前で組み、更に溜め息まで吐いている桜川真由美である。 俺は思わず「どうみてもカッコ良くはないだろ…」と桜川さんにツッコミもうかと思ったが 「雅人、お前病気だよソレ…」 と、心底気の毒そうな顔付きで健吾が言う。 それに続けとばかりに香織も 「ちょっとアンタら病気や病気!今週の保健係って誰やねん、早よ保健室連れてったりーな!」 「いやいや香織、保健室じゃ手遅れだって!病院だ病院!」 「純、今週の保健係って誰だっけ!?」 いきなり健吾に話を振られた俺は、戸惑いつつ黒板の隣に表示された当番表を見て…………無言で当番表を指差した。 香織と健吾は、その指が差された方向を見るや否や 「それアカーーン!!!」 「終わったーーー!!!」 二人同時に頭を抱えての絶叫。 もう片方の二人組は、何の事やらサッパリ分からないと言う顔付き。 当番表には、今週の保健係に瀬尾と桜川さんの名前が表記されていたと言う事は二人と純の反応を見れば言うまでもないだろう。 このやり取りにて先程まで静寂に包まれていた教室が一気に騒がしくなり、そしてクラス中に一足早い夏祭りが織り成す笑いの花火が上がったって訳だ。 そう…… 此処までは何の変哲も無い、夏休みを前日に控えた何処にでもありそうな中学三年生の教室風景だったんだ。 そう…………此処までは………
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