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洋輔は、林の周囲に等間隔で水晶を配置する。
順々に水晶を置いていくが、残りが三個程度になったあたりから水晶に変化が生じる。
無色透明、一切の濁りやくすみの無い水晶の中に、黒雲と言おうかモヤのような翳りが浮かぶ。
「神奈ちゃん、これって?」
「既に、浄化が始まっているので御座いましょう。洋輔さま、残りの水晶をお願い致します」
洋輔は、言われるままに水晶を配置する。
そして、林の周囲に水晶が完全に配置された。
「これで、いけるのか?」
思わず呟いた洋輔の言葉に呼応するように、全ての水晶の中にどす黒いモヤが浮き上がる。
すると、結界内から呻き声が聞こえてくる。
続いて木々の隙間から黒いモヤが漏れ出してきて、それが水晶に吸い込まれていく。
「何だか、行けそうだね」
「そうで御座いますね」
そう言った洋輔だったが、水晶を配置すれば一瞬で浄化され、結界を外して鬼達と神奈の再会を、目にする事が出来ると勝手な想像をしていた。
何事も、そう都合良くは行かないものだ。
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