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それでも確実に鬼達の浄化は進行していて、取り合えずの安心に繋がった。
神奈と見つめ合い、それを確認する。
だが次の瞬間、神奈の表情が凍り付き固まったまま動かなくなった。
「神奈ちゃん、どうした?」
「妖気が……」
「妖気?」
「はい。あの鬼の妖気を感じたのですが、鬼の里で顔を合わせた時より強大になっておりまして……」
洋輔は、鎌鼬の時にも同じ事があったと思い出す。
だが、神奈の動揺の仕方が尋常じゃない。それだけで、あの鬼がどれだけ強くなったのかと考えてしまう。
そして、それが不安に繋がる。
「神奈ちゃん、鬼は?」
「あちらで御座います」
神奈は、丘を指差した。
それは、丘の向こうを指すのだろうと予測すると、洋輔は丘に向かって駆け出した。
そして、すぐに頂きにたどり着いた。
丘の西側、神奈の小屋と不死城の中間に広がる平原に、五体の鬼が確認できた。鬼の方も、すぐに洋輔の存在に気付いて足を止めて、丘の上を見詰めている。
そこに、神奈が追い付いてきた。
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