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洋輔は、一応の用心をしつつ鬼と対峙する。
鎖鎌の作り出す絶対領域を見て、他の鬼達を止めたのは巨漢の鬼であった。
「あれには、容易に突っ込んではならん」
「そうなのか?」
「あぁ、突っ込めば鎧を引き裂かれ体にも傷を追うだろう」
「バカな、ただ鎖付きの分銅を回してるだけではないか」
そう言った一体の鬼が、洋輔に向かって金棒を振り上げつつ、不用意に突っ込んできた。
当然、鎧は引き裂かれ全身に傷を追い、地面に投げ出され戦闘不能となった。
ある意味で、この絶対領域は神奈の小屋を守る結界と、同じ性質を持っているようだ。
妖気の強い妖ほど、強いダメージを受ける。
「人語を操る時点で、ここに来た鬼が強いのは分かってたけど、あのデカイのが情報を流すのは厳しいな」
あの鬼を、林の結界に封じられなかった事を軽く後悔する。
単純に力任せの戦いなら、前回のように相手の力を利用も出来るが、距離を取られると戦い方に困る。
「でも、一体倒せたから由とするか」
そう言って洋輔が微笑む。
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