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それを、動きながらやる。
しかも、突撃と言うからには歩くのでは無く走りながらで、体は上下動しリズムを一定にするなど不可能に思えた。
だが洋輔は、それを可能にした。
「何、あの時は動けなかった筈なのに」
標的は、巨漢の鬼。
洋輔は古武術の走法を使い、体の上下動を極端に抑えて歩を進めるリズムと旋回のリズムを同調させる事で、絶対領域を維持したまま高速移動する。
鬼は、完全に不意を突かれた。
下手に予備知識があった為に、予想外の行動に対応できなかったのだろう。
二体目が、大地に転がった。
「そいつの言った通り、この小僧かなりのくせ者のようだな」
「あぁ、だが我らとて簡単には負けんぞ」
「負けんでは無く、こやつを倒してあの御方に亡骸を献上するのだ」
「そうだったな」
そう言った二体の鬼は、洋輔の左右に展開すると金棒を使い、洋輔の足元を狙って攻撃を仕掛ける。
だが、狙いは洋輔の足では無かった。
狙いは足元の地面で、攻撃の度に地面がえぐられ平地に凹凸が出来る。
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