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その情報も、伝わっているのだろう。
洋輔に攻め手が無いように、絶対領域を崩さない限りは鬼達にも攻め手は無い。
長時間の膠着状態になれば、体力的に洋輔は不利であり鬼達はそれを狙うかに思われた。
だが片方の鬼は、そこまで気が長くなかった。
「やっぱり、そうなるよな……」
基本的に相手の隙を突き、虚実を利用したトリッキーな戦い方をする洋輔に取って、圧倒的な力による攻撃は苦手としている。
ここまでは何とか騙し騙し戦い、どうにか鬼を倒す事が出来た。
そんな苦手な攻撃を、大一番のこの場面で繰り出される。
鬼は、巨大な岩を抱えていた。
「さぁ、この局面をどう乗り切る?」
岩を抱えていない、もう一体の鬼が金棒を構えて洋輔を心理的に追い詰める。
岩が投げられる前に、絶対領域を解いて逃げようとすれば、攻撃するぞと言わんとしているのだろう。
だが、考える余地も無く岩は放たれた。
大型トラック程はありそうな岩が、頭上から迫り来る中でもう一体の鬼が洋輔に攻撃を仕掛ける。
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