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鬼を封じる為の武器を得て、妖界に戻った。
妖武具は、それを封じる妖と武器の相性があり、武器ならば何でも良い訳では無い。
武器自体にも力が必要なのだ。
それは、鎌鼬を封じた鎖鎌や鬼女を封じた鉄扇は、確かに強力な力を有していると、神奈は感じ取り実際に妖を封じた。
だが、金棒が鬼を封じるに値する武器かは、神奈に見せるまでは判断できないのだ。
「結構で御座います」
「本当に? この金棒で鬼を封じるのは大丈夫なの」
「はい。この金棒からは只ならぬ気配と、底知れぬ力を感じております」
「そうか、良かったぁ」
その時、洋輔は篤史の顔を思い浮かべ安心した。
人間界で、ある意味で唯一の男の友人と言える篤史が、自分の事を考え自分の為に作ってくれた金棒を、決して無駄にはしたくなかった。
冬とは言っても、製作時には炉に火を入れていたから、相当に暑かったことが予想されるから。
その金棒は今、神奈の鏡の中にある。
「でも、本当に不思議だな」
「洋輔さま、何がで御座いましょうか?」
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