第五章 鬼の解放

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   洋輔は、しみじみと答える。 「この、鎖鎌だよ。あれだけの戦いだったら、体中の骨がバラバラになってもおかしくないのに、こんなにも無事なんだからさ」 「私はそのお陰で、洋輔さまの戦いを何とか見る事が出来るので御座います」  今の神奈では、傷だらけになる洋輔をまともな神経で、見守り続ける事など出来ないだろう。  それほどまでの忠誠心。  そんな神奈の気持ちを背負い、洋輔は最後の鬼へと歩を進めた。 「あの時の小僧が、ずいぶんと覚悟を決めた顔をしてるな」  鬼は、悠然と洋輔を待ち構えている。  四体の鬼の戦闘に参加したり、戦闘の直後に洋輔を攻撃すれば、容易に打ち倒す事が出来たかもしれない。  特に、鬼に封印を施している間に攻撃すれば、洋輔のみならず神奈も打ち倒せただろう。  だが、鬼はそれをしなかった。  倒されてしまった同族の体を、これ以上は傷付けたくないと言う気持ちが働いたのだろう。  本能は、大妖の支配を受け切っていない。  カラス天狗が感じてたのは、まさに事実であった。
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