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そして、洋輔と鬼は対峙する。
洋輔の身長が六尺強とするならば、鬼の身の丈は九尺十尺はありそうであった。
これまで倒した鬼も、洋輔と変わらぬか少し高いくらいだったが、目の前の鬼は確実に大きい。
洋輔の人生において、高校生以降に相手を見上げた経験は数少ない。数少ないどころか、数える程もない。
「流石に、大きいね」
「あのお方の妖気を、更に受けたのだ。体だけでなく力も強化されている」
「怖いなぁ」
「そう言ってる割りに、顔はそう言っておらんぞ」
「いや、やっぱり怖いよ」
洋輔は、思い出していた。
少年の頃、祖父の家に預かられ毎日のように道場に出入りしてた頃、周りの門下生は全て大人だった。
当然、全員が洋輔よりも長身だ。
「あの頃は、リーチの差を埋めるにはどうするかを考えてたな」
そう、考えていた。
小学生にして、今の洋輔のキャラクターは完成していだ。
修行をし技を身に付けて相手に立ち向かうのでなく、相手の力量を分析し手持ちの武器をどう使えばいいか考えた。
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