第五章 鬼の解放

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   そうして、免許皆伝と同等の実力となった。  祖父の源治以外で、折原流古武術を洋輔以上に使える者はいない。  大人の門下生が全て辞めてしまった今となっては、折原流古武術免許皆伝と同等の実力など、何の有り難みも無いのだが。 「さぁ、折原。ボチボチ始めるとするか」 「うん」  鬼は、抑えていた力を解放するように、気合いの掛け声と共に妖気を解放する。  突風のような圧力と共に、洋輔の体は後方に弾け飛ばされた。 「何だよ、デタラメ具合も強化されてるのかよ」  空中で、そうボヤいてみてから鎖鎌の鎌を投げ、地面に突き刺し吹っ飛ばされる体を止めた。  そして、着地する。  着地してすぐに洋輔は横に飛び、鬼の追撃をかわす。 「やっぱり、そうか……」  洋輔の着地点には金棒が降り下ろされ、地面が爆発したように弾け飛びその土が頬を叩く。  本来なら土に混じった小石で、頬の肉を削ぎ落とすところだが鎌鼬の鎖鎌の治癒力で、ただ土や小石が頬に当たって落ちたように見えた。  そして、更に距離を取る。
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