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力押しではあるが、洋輔に取っては不意打ちの形になった。
本来なら戦闘の開始と共に、鎖鎌の絶対領域を発動させるつもりが、完全に後手に回っている。
その為に、距離を取った。
そして絶対領域を発動させ、鬼の動きを制限させ戦いを組み直す。
「その武具と技で、我の同胞を討ち取ったのだな?」
「そうさ。いくらお前が強くたって、これだけは簡単に破れないだろ」
「そうでも無い」
「えっ?」
鬼は頭上で金棒を旋回させると、旋回の勢いをそのまま伝えながら金棒を投げ付ける。
金棒は、回転する巨大な刃となり絶対領域を簡単に粉砕し、洋輔ごと吹き飛ばす。
「そんな……」
神奈は四体の鬼達を封じた結界を背にし、洋輔の危機に言葉を失っていた。
鬼に対して唯一有効な絶対領域が、いとも簡単に打ち破られたショックは生半可なものでは無い。
それは、洋輔も同じだろうと視線を送る。
だが、洋輔は笑っていた。
「洋輔さま?」
どう考えても危機的状況であり、笑える事などあり得ない筈である。
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