439人が本棚に入れています
本棚に追加
鬼との戦いの中で、洋輔が時折見せる笑顔。
特に強敵を相手にしたり、危機的状況に見せる表情に戸惑ったが、神奈はふと思い出していた。
「幻幽斎さまも、そのような事が御座いました……」
洋輔の先祖にして、神奈が元々支えていた折原 幻幽斎もまた、強敵を前にして楽しげな表情を浮かべて、戦闘を楽しんでいるフシがあった。
つまり、これは血筋なのか。
三百年の歳月を越えて尚、折原の血族は戦闘を楽しむ一族なのだろうか。
神奈は、今それを追及する状況では無かった。
笑顔であろうが楽しんでいようが、洋輔が危機的状況である事は間違いないのである。
鬼が、洋輔に問い掛ける。
「しかしお前は何故、我の攻撃を受けても傷付かんのだ?」
「気になる?」
「既に絶命する攻撃を幾度となく受け、以前に我から受けた傷も完治しているようだ。さて、何のカラクリだ?」
「カラクリね、そんな事を教える訳がないだろ」
「ならば那由多ほどの数までも、お前の肉体を引きちぎってくれようぞ。さすれば、再生も出来まい」
最初のコメントを投稿しよう!