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「那由多って……」
鬼は洋輔の無傷の理由を、高速の再生能力と判断したようだ。
しかも那由多ほどまでと数的単位として、現代人の日常では使わないほど莫大な単位を示す事で、洋輔に圧力を与えようとした。
実際に、それが出来るかは不明だ。
那由多。
日常で使う単位としては、国の予算等でも【兆】どまりであり、その上の単位の【京】以上となると使用する機会などまず無い。
【那由多】は、時代や地域や受けとる人によりその数が違っているのだが、一般的には十の六十乗と言われているが、十の七十二乗と言う人もいる。
「ボクを那由多までね……」
洋輔はその言葉に、恐怖どころか好奇心をくすぐられてしまう。
洋輔の体の体積を算出し、それを那由多ほどまで引きちぎると、一片の体積はどの程度まで細かくなるのか計算したくなる。
まぁ、塵ほどの大きさにもならないだろう。
つまり、那由多ほどと言っても数的意味では無く、そのくらい膨大な数まで細かくと比喩しての事だ。
「まぁ、計算してる場合じゃないか」
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