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絶対領域を解く。
鬼が金棒を頭上で旋回させている事で、がら空きになっている脇腹を分銅が叩く。
その攻撃は、絶対領域を作っていた旋回の力をそのままに、鬼の脇腹を叩いたが鋼鉄の腹筋があっさりと弾き返す。
鬼にダメージは無い。
「ふんっ、小賢しい」
今度は逆に頭上で旋回させていた金棒を、洋輔の頭上に振り下ろすが金棒は大地に食い込んだ。
洋輔は脇腹に分銅を打ち込む反動で、自らの体を右方向に逃がしていた。
そして、絶対領域を作り出す。
「さて、次はどう来るかな?」
そう言った洋輔は、薄笑いを浮かべているが額には玉の汗が浮かび、こめかみから首筋を伝う汗が流れる。
恐怖と歓喜。
二つの相反する感情が、洋輔の脳内に異常なアドレナリンを発生させるのか、無意識の笑顔と冷や汗を同居させた。
一歩間違えれば、金棒が額を石榴のように割る。
そうなれば鎖鎌の治癒力を持ってしても、洋輔の命は助からないだろう。
絶対の力と速さ。
鬼は、再び絶対領域を打ち破ろうとする。
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