第五章 鬼の解放

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   更に、戦闘は続く。  絶対領域の攻撃は通らず、分銅による脇腹への攻撃が五割の確率で当たる。  一方で、洋輔への攻撃は七割の確率で左腕を襲う。  打撃による傷やダメージは、鎖鎌の力で治癒する事が出来るが、ギリギリの緊張と集中の中での戦闘は容赦なく体力を奪う。  鎖鎌では、体力の回復までは望めない。 「参ったな、作戦の選択を間違ったかな……」  そう言いながら、再度攻撃を繰り出し分銅を脇腹に打ち込んだ。  その返す刀で、金棒が振り下ろされる。  洋輔は、何かを見た。  そして、金棒が空を切り大地で跳ねた。 「やっと、来たか……」  肩で息をしながら、洋輔が呟く。  洋輔が立てた戦略は、鬼面の九十九神と戦った際に用いたものを、そのまま使っただけだった。  ただ違っていたのは使った武器が、河童の仕込み槍が鎌鼬の鎖鎌と言う事だけ。  急所への連続攻撃。  蓄積されたダメージで、相手の動きを鈍らせ自分を優位にしようと考えた。  実際、鬼は攻撃の直前に足を引きずった。
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