第五章 鬼の解放

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   洋輔は、吹き飛んだ鬼に歩み寄る。  相手が妖であるため、絶命の心配は無いが息も絶え絶えで、目も虚ろなその様は今にも息絶えそうであった。 「折原か……」 「うん」 「我は、負けたのだな」 「ボクとしては、余り勝った気がしないんだけどね」 「戦いは、結果が全てだ。大地を踏み締め、敗者を見下ろす者が勝者なのだ」 「うん……」  鬼の体が、ゆっくりと再生を始める。  一番最初に再生をを始めたのは、右手の指だった。第二間接から逆向きに反り返り、折れた骨が音を立てて再生する。  もちろん、それは洋輔の攻撃によるモノでは無い。  だが、間違いなくこの為に鬼の攻撃が止まったのだと、指の角度が物語っている。  そして、鬼は更に洋輔に語り掛ける。 「我の同胞は、これからどうなる?」 「結界に浄化の力を追加したんだ。これで、大妖の呪縛から解放される筈だよ」 「そうか……」  鬼が、安らぎの表情を浮かべて目を閉じる。  全てを悟ったような、それでいて全ての呪縛から解き放たれたような顔。
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