第五章 鬼の解放

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   洋輔は、その顔を見て菩薩のようだと思った。  鬼は、昔ばなしや童話では悪の象徴として語られているが、日本の神社仏閣では鬼を奉っている場所もある。  この鬼も、それに値する存在だと思える。  洋輔は、鬼の肩にそっと触れてみた。 「折原よ……」 「うん」 「我が、里の者達を頼む」 「うん、分かった」  鬼は、仲間を洋輔に託すと静かな眠りについた。その様が余りに潔く、先を感じさせない事から死なない筈の妖から、死の気配を連想させた。  それを弔うように鎌鼬の鎖鎌が、鎖を揺らし小さな音を立てた。
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