第五章 鬼の解放

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   洋輔が何を思うのか、神奈には図りかねた。  そんな洋輔が、神奈の方に向き直りもせずにポツリと呟いた。 「鬼達の浄化は、どうなってるかな。見に行ってみようか?」 「洋輔さま、今は先にやらなければならない事が……」 「分かってるよ。でもね……」 「でも、何で御座いますか?」 「この鬼も、ひょっとしたら浄化出来るんじゃないかって思ってるんだ」 「洋輔さま……」 「分かってる。分かってるんだけど、どうしても鬼達と一緒にこの鬼も返してやりたいんだ」  それが、無理な事は分かっている。  だが、ここまで来ても踏ん切りが着かず、何か方法があるのでは無いかと考えずにいられない。  人間界でなら、自分の知識と頭脳を総動員し方法を見付ける事も出来るが、ここ妖界では人間界の常識が通用するとは限らない。  それが、絶対だと言われれば抗う術はない。  だが今回、水晶が鬼を浄化出来る事実が発覚し、だったら妖武具に封じなければならない妖も、救う手だてはあるのでは無いだろうか。  そう思ってしまった。
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