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洋輔が何を思うのか、神奈には図りかねた。
そんな洋輔が、神奈の方に向き直りもせずにポツリと呟いた。
「鬼達の浄化は、どうなってるかな。見に行ってみようか?」
「洋輔さま、今は先にやらなければならない事が……」
「分かってるよ。でもね……」
「でも、何で御座いますか?」
「この鬼も、ひょっとしたら浄化出来るんじゃないかって思ってるんだ」
「洋輔さま……」
「分かってる。分かってるんだけど、どうしても鬼達と一緒にこの鬼も返してやりたいんだ」
それが、無理な事は分かっている。
だが、ここまで来ても踏ん切りが着かず、何か方法があるのでは無いかと考えずにいられない。
人間界でなら、自分の知識と頭脳を総動員し方法を見付ける事も出来るが、ここ妖界では人間界の常識が通用するとは限らない。
それが、絶対だと言われれば抗う術はない。
だが今回、水晶が鬼を浄化出来る事実が発覚し、だったら妖武具に封じなければならない妖も、救う手だてはあるのでは無いだろうか。
そう思ってしまった。
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