第五章 鬼の解放

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   洋輔は、歩きながら妖武具のイメージについて考えた。  妖には、四つの属性に属する妖と属性に関係の無い妖がいて、妖界での生活圏で分類されている。  河童は水属性。  鎌鼬は風属性。  鬼は地属性。  鎌鼬や鬼は属性に準じたイメージであったが、河童と鬼女は属性とは関係の無いイメージである。  そこに、何かの意味があるのか。  そこで、鬼女のイメージを考える事にした。鬼女と赤子と言う二つのキーワードから、何が連想できるか考えてみる。 「そうか、鬼子母神か」 「洋輔さま、何で御座いますか?」 「うん、神奈ちゃんの鉄扇から伝わる感覚が、赤ちゃんの泣き声って言ってたから考えたんだ」  鬼子母神。  仏教やその他の宗教に於いても名前の出てくる、伝説の鬼女。その名の通り、子を持つ母であり鬼であり神なのだ。  諸説はあるが、天界の神々の子を数多に持ちながら、他人の子を食していた為に釈迦から自分の子を隠され、子を失う母親の苦しみを悟り仏教に帰依したと言う。  それからは、慈愛の神と呼ばれた。
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