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そんな鬼子母神は、日蓮宗や法華宗の寺院で祀られている。
「鬼子母神は存じておりますが、あの鬼女が鬼子母神だと仰るのですか?」
「うん。ボクの考えでは、その鉄扇に封じられた時点で鬼子母神になったって気がするんだ」
「はぁ……」
神奈には、イマイチ伝わらなかった。
それで、洋輔は補足する。
鬼子母神の子を思う慈愛の部分は、あの鬼女そのものであった。
そして、実際にはあの鬼女が子を食していた事実は無いだろうが、鉄扇の能力で妖を封じる事から洋輔は鬼子母神を連想したのだ。
それで神奈は、ようやく納得した。
「だから神奈ちゃんの使い様で、鉄扇は神にも鬼にもなるんじゃないのかな」
「そうで御座いますね……」
神奈は、それを聞いて決意する。
万が一洋輔の危機が訪れた時、先ほどの鉄扇が勝手に動いたように、躊躇無く妖を封じて洋輔を助けようと。
そう、鬼にもなる決意。
その時、二人は林の結界に到着していた。互いに思うところはあるが、今は鬼達の浄化の成功が一番の問題であった。
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