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その武具は数百にも渡り存在し、その保管や運搬は九条家の伝承者の役割で、今は神奈の懐にある鏡が保管場所であった。
だが、槍は玄幽齊の懐から出された。
それだけで、その槍が特別な物だという事が分かる。そして、玄幽齊は再び槍を見詰めて呟く。
「だが、このままでは後世に残すにしても、いささか不便かもしれんな」
「玄幽齊さま、何を……」
そう言った玄幽齊は、おもむろに腕を振り上げると逆の腕の肘辺りに、槍の穂先を降り下ろした。
神奈が悲鳴とも取れる声を上げた。
だが、玄幽齊はそれに構わず槍の穂先を軸にして、半回転させるとその腕は地面へと落ちた。
それを拾い上げ、神奈に差し出す。
「神奈よ、この腕に槍を封じ後世に伝えよ。そうだな、鬼の手とでも言い伝えれば欲しがる者も現れまい」
「ですが玄幽齊さま、片腕では何かと御不便でございましょう」
「我が身は、大妖を封じるだけ何の不便があろう」
その時、玄幽齊の背後で妖気が蠢いた。それは、中の大妖が扉を打ち破ろうと抵抗してるのだ。
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