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そして、目を閉じ呪文の詠唱を始めた。
「九条の名において命ず。大妖よ、我が主である折原の身に宿り永劫の時を過ごせ」
神奈の鏡から光が放たれ社の中に吸い込まれると、社は内側から淡い光を放ってから、吸い込むようにその光を打ち消した。
神奈は、引き続き封印を続ける。
懐から一枚の和紙を取り出すと、血文字で何かしらの紋様を描いて社の扉に貼り付けた。
「九条の名において命ず。扉よ、この印の力を受け永劫の時を不動の物とせよ」
今度は、扉と紋様が輝いた。
その光が途絶えると辺りに静寂が訪れ、一切の悪しき妖気が消え失せていた。
そこで神奈が我に返る。
「あぁ……」
神奈はその場で泣き崩れ、三日三晩そうしていた。
四日目の朝。
神奈は玄幽齊の腕を、赤子でも抱くように胸に抱き妖界を後にした。
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