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死神は、特別、人間的な本能が備わっているわけではない。
食欲も睡眠も、様々な死神によって欲求の程度が違う。
それは人間よりもひどく極端で、単純だ。
ノワールは特に食欲に対する欲求はひどく、睡眠に対する欲求が皆無に等しい。
例えば他に、食欲がまったくない死神もいる。
人間のように夜眠る死神もいる。
「ノワール、買い物行こうよ」
「…」
「君に似合いそうな服があってねえ」
「なんなんだよお前!」
ちなみに死神の容姿は生前のものがベースとなるのだが、その正確さは疑わしい。
色が違ってしまう場合があるのだ。
生前の記憶はない上、体重も身長もそれ以上にも以下にも変化はしない。
更に言えば、死神は傷などの治りが異様なほど早く、病気などにはならない。
だが再生能力が異常、と言ってしまえば、それもまた違う。
死んでしまった姿そのままの姿を保たなくてはならないため、腕を切ろうが足を切ろうが元に戻ってしまうのだ。
ただ、やはりそれも無限ではない。
「えーいいじゃんーノワール可愛いの似合いそうだしー」
「要らん!!」
死神とは本来、人間の時、自殺・他殺・病気など、満足な死を終えられなかった者の魂の成れの果てである。
死因が上記の者達は、魂の更生を行わなくてはならず、そうでなければ再び人間として生まれることが出来ないのだ。
その過程として、死神となる。
「何が不満か言ってごらん!」
「全部だ全部!!」
また、死神には「死」が存在しない。
という言い方は少々派手すぎる。
相応な言葉ではないだろう。
「お前わかってんのか?」
「なに?」
「契約!今日で3日!」
「ちゃんとわかってるよー」
人間としては「死」だが、死神達としては「消滅」である。
一例を置こう。
死神達は生前を知ってはならない決まりだ。
生前の記憶を取り戻した時、規則外の行動をする可能性があるため、死神になるにあたって神々が本人達の奥底に押し込めてしまう。
奪われてしまったわけではないので、奪い返すことが出来ず、かと言って押し込まれたそれを引っ張り出す術を持っているわけではない。
もしそれを知ってしまった場合、一種の重罪とされているため、神々の判断により「消滅」へと至る。
「決断はまだか鼻タレ男」
「いやタレてないし」
マスターを自ら殺害するのも、これと同等である。
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