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微かな地響き。 「…なんだ?」 ―――ズン… 「ノワール?」 セオドアの声を気にせず、少し足早に店を出る。 曇天、生温い風。 辺りの雰囲気の静けさが妙に不気味で、人の声すら聞こえない程どこかへ耳を済ます。 ―――キィィン 「…この音」 金属? 何か、細く、長く…鋭い。 「ノワール、どうしたの?」 「少し黙ってろ」 空を見上げ、建物へ点々と目を移す。 地響きは次第に強まり、 「!?退がれセオドア!!」 「!?」 ―――ドカァァンッッ いくつかの瓦礫が降り、地に穴とヒビを作った。 「セオドア様!!ノワール様!!どうなさいましたか!?」 「来るんじゃねえ!!」 店の前で歩みを止めるアレッシオ。 状況が読み込めないのは彼らだけではない。 幸い、周りの人々は下敷きにはならなかった。 「なに、これ」 セオドアの心を最初に支配したのは恐怖心。 「別の死神の襲撃だ。お前を殺そうとしてる」 契約を交わすということは、こういう世界に足を踏み入れるということ。 経験値稼ぎのために来る死神達にとって、他の死神に与えられる経験値は、皆無でいいに越したことはない。 ノワールが地を蹴り、壁を蹴り、屋根へ上がる。 「…まさか」 目が、合った。 「あたしの赤毛チャン…ふふ」 フードを被った黒装束。 セオドアにはその声が聞こえなかった。 「あれは…?」 黒装束がこちらを見た気がした。 確実に狙われているようだ。 「あんた、気に入らないの」 真っ白い手に握る光。 「死んで」
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