49人が本棚に入れています
本棚に追加
「セオドア様、ご用意が出来…おや」
小走りで来たのか、軽く息を切らしている。
すぐにノワールの存在に気付くも、表情をくずすことなく聞いた。
「そちらの方は?」
「噴水から出てきたんだ、僕の新しい友達だよ」
「いや間違ってはいないがその紹介はどこか頂けない」
「そうですか噴水から…良かったですね、セオドア様」
「うん、僕嬉しいんだ」
「噴水から出たことに関しては微塵も突っ込まないのな」
主人あっての執事か、執事あっての主人か。
ノワールは呆れたような顔をする。
この世界には珍しく、温かい風だ…と。
「ノワール、僕これからランチなんだ。ジョンの料理は美味しいよ。一緒にどう?」
ノワールの心情をよそに、セオドアは1人で「死神って物食べれるのかなあ?」と首を傾げている。
「腹、減った」
その声に、驚きつつも微笑んだ。
「何か喰わせろ。甘いモノがいい」
「はいはい」
屋敷へ入っていく3人。
薔薇園が風に揺られ、囁くようにざわめいた。
「あらやだ、こんなところにいたのね」
.
最初のコメントを投稿しよう!