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―はじまりは、唐突に何の前触れでさえも感じることができない。
あの日、俺の全てが変わってしまった。そう、あの雨が降る日。いつもと変
わらぬ平和な日常<何でもない日々>は、崩れていった。
<いつもと同じ>壁、<いつもと同じ>天井を見ながら、<いつもと同じ>
ベッドから身を起こした。それは何年も前から変わらない、俺の一日の始ま
り。<いつもと同じ>机の上に置かれた目覚まし時計をみる。予定 の時刻より
も一時間と少し早く起きていることに、小さくため息をつく。
「では、今日の天気はどうなのでしょうか?」
「はい、今日は寒冷前線の通過により、昼ごろから雨が降るでしょう。なの
で、外出する際には折り畳み傘を、鞄にいれ…」
綺麗な格好をした女の子が、年相応の可愛らしい笑顔を向けてくるのを眺
め、朝早く起きてしまった<原因>に気づく。
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