聖者

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バラバラと、弾と薬莢が机の上に散らばる。 カゲルは、もう使えない薬莢とまだ撃ってない弾を分けてから薬莢を黒塗りの金属ケースにしまってゆく。 最終的に残った弾は一発 自分自身に節約節約と言い聞かせてポケットにしまい込んだ。 次に、机の上の箱をひっくり返すと、銃弾がばらまった。 カゲルは一つを手に取ると薄暗めの部屋の照明にかざした。 そして、異常が無いのを確かめてから聖書のスライドした部分へはめ込んでいった。 最後にスライドを押し戻して、机の上へドンっと置いた。 不思議な事に、金属音はせずに、本特有の厚みのある音が響いた。 「さて…次はっと」 今度は首に掛かっている聖十字…ロザリオに手をかけた。 少し大きめなデザインのロザリオはカゲルの手に良く馴染んでいた。 カゲルはロザリオの底面を捻ると聖十字に変化が起きた。 カシャカシャっと音がしたかと思うと、上と下にパーツが伸び、グリップと刃が現れたのだ。 なんとも良い感じの刃物の出来上がりである。 一体どこに刃が隠れていたのかは当の本人にもわからない。 武器製造屋の頭はどうかしてるとしか思えない(良い意味で
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