縁日にて

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蝉の声が聞こえる。 無視しても、鳴き声は大きくなる一方で、もう寝てはいられなかった。 僕は諦めて、体を起こした。 隣に寝ていた従兄弟はもう起きて、どこかに行ったようだ。 朝から元気な事で羨ましい。 叔母さんが部屋にやってきて ご飯を食べるように催促してきた。 「優くん、ごはんだけでも食べてくれないと困るのよ。 あとは自由にしていいから」 「はい」 僕は、のろのろと立ち上がり二階へと降りていった。 一階の居間に行くと、従兄弟の京太がテレビを見ていた。 「おはよう。もうご飯食べたの?」 「ああ。9時にはあいつらが来るからな。優もさっさと食えよ」 時計を見ると、もう15分前だ。 「ゆっくり食べて、後で合流するよ」 「何言ってんだ。4人で行かなきゃ意味ないだろ。ほら、さっさと食えって」 従兄弟に急かされながら、僕はご飯をかき込む。 僕の名前は、白井優。 小学五年生だ。 今は、夏休みを利用して親戚が住む田舎に来ている。 従兄弟の京太とは同い年で、 お互い一人っ子という事もあって僕らは仲がよかった。 今日は、京太の友達と近くの川へ釣りに行くことになっている。
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