縁日にて

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「何もこんな朝早くから遊びに行かなくても…」 「何言ってんだ。この低血圧が。今日は祭りだから、テキパキ行動しなきゃならないんだ。釣りだろ。宿題だろ。それに屋台めぐり」 「釣りは明日でもいいんじゃない?」 「山本の兄ちゃんが今日しか空いてないって言っただろ? 本当は俺らだけで行きたいのに大人が一緒じゃなきゃ駄目だって親がうるさいんだ」 山本の兄ちゃんというのは近所に住む青年でよく子供達の面倒をみてくれるお兄さんだ。 立派な成人の筈だが、中身はきっと子供だ。 そうでないと、あそこまで僕らと一緒になってはしゃげない。 「はいはい」僕は適当に返事をした。 僕は低血圧だ。 本当に朝は、動くのも億劫なのだ。 口を動かすスピードも落ちてきたとき、賑やかな声が聞こえてきた。 「しらいーっ。来たぞー 」 「あ、来ちまった。ほら、優、さっさと食えって」 「無理。ちょっと待ってもらって」 京太は、家の外に出て行った。 「この低血圧!」 悪態が聞こえてくる。 だが、返す余裕はない。
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