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「違うわよ。ちょっと顔洗ってきなさい。話があるから」
おばさんは僕にしたのと、同じように話した。
「ま、昌樹達はどうなったんだよ!」
京太は母親に飛び掛らんかの勢いで言った。
「落ち着きなさい。ケガは転んだ程度らしいから大丈夫よ」
「そうか…昨日の夜にそんな事が…」
「優くんにも言ったけど、よその人に変な事言わないのよ。まだ犯人も捕まって
ないんだからね」
「分かったよ」
返事はいいが、きっと京太の中では犯人を捕まえてやろうという気で一杯だろう。
案の定、朝食を食べると聞き込みだと言って、昌樹の家へ行こうと言い出した。
僕も昌樹たちにケガをさせたのは許せないので、京太に付いていく。
昌樹の家に行くと、おばさんが出て家に上げてくれた。
部屋では、膝小僧に大きな絆創膏を張った昌樹と忍がいた。
「あ、京太達来てくれたんだ。もう僕怖くて…」
忍が泣きついてきた。
昌樹は、むっつりと黙り込んでいた。
「昨日変なヤツに追いかけられたんだって?」
京太が聞く。
「ああ。突然でさ。まったく訳分かんねえっての」
「犯人の顔は見たのか?」
「暗かったからな。大人の男って事しか分かんねえ。警察にも同じ事聞かれたけどな」
忍が口を挟んだ。
「ねえ。もうその話は止めてよ。僕怖くて昨日眠れなかったんだから」
「京太。忍も怖がってるし、もう止めようよ」
「変なヤツがこの辺りをうろついてんだぞ?さっさと捕まったほうが皆のためだって」
京太は中々譲らない。
京太は正義感は強いが、少し周りに対する思いやりが欠けているのだ。
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