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なのに、そんな生さえも許されず、頭上から再び下りてきた肌色の何かに僕は挟まれる。とても強いチカラだ。
もはや二本の足では対抗できない。そう感じて、直ぐに二本の牙を突き立ててやった。だけどそれは固くて、とてもじゃないが太刀打ちできない。
ああ、あちらの人工的な太陽を反射させているハサミはあんなにも強力なのに、どうして僕の……黒く輝いていると思っていたハサミは、こんなにも軟弱なのだろう。
その非力さを恨んだとき、からっぽの頭と小さくても強く脈打つ心臓が入った体は、ぽとりと音も立てずに落とされた。
そこは、お菓子の箱の上。
アリである僕が、恐怖に感情を宿した。ということも知らない人間が、僕を捨てた場所。
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