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甘い香りにつられてやってきたその場所で、僕は生まれた。そう、恐怖が生まれた。
微かに香るお菓子の甘い誘惑に、足は動かされて。気がついたら暗い空間を抜け出して。
大きな空間に出た僕は、人工的な……暖かみのない太陽の下、青白くて歩きにくい大地を踏み締めていた。
この大地は、歩きにくくて頭にくる。だけど僕は歩く。それは、本能が立ち止まることを良しとしないのか。それとも僕が……
そんなことを考えていると、きらびやかなライトが僕の頭上を通過した。それが何かを理解するのに数瞬の時間を必要としたのは、それが初めて見る物であり、初めての恐怖であったためだった。
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