三十話~陽のあたる場所へ

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  恋をすること 無理だと 諦めていたのかも しれないね そうそれが 俺が生きてた道だよ 君がいる道を選んだから それはそれで 辛い道だよって… 君は言ったね だけど 俺はすべて飲み込んで 君に口づけをしよう すべらせる すべらせる 喉元へ 赤く赤く染まる君へ 君の胸に顔をうずめ そのまま深く静かな海へ 滑り落ちよう 君の手を握り締め 指が絡まりながら ライトの明かりを 静かに消して 君の中へ 深く滑りこむ 君が濡れていく その海のように 俺は深く深く貫きながら 君の声を聞く 激しい温もりが 君の中へ 放たれていく 果てていく それを二人で 受け止めながら 果てていく 君の声が聞こえてくるなら 俺はその声を さまよい歩きながら 探し求めて 君の元へ 辿り着く 今は俺の目の前に 君がいないけど いつか 君に辿り着く 陽のあたる場所で 君に辿り着く
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