三章

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改めて見上げるとやはり迫力の大きさのレールに、そこから響く悲鳴に圧倒される。 「涼君、行くよー。」 「う、うん。」 「大丈夫?」 「たぶん、さっきまでのとは大きさがかなり違うから、緊張しちゃうよ~。」 「ははっそうだねー。実はオレも緊張してる。」 涼は自分一人が緊張してるんじゃないと分かると、少し緊張が解れる感じがした。 だけど、巨大ジェットコースターの最上部の高さとそこから下の距離と角度を見ると緊張する。 「お待たせ~!列に並んでるんじゃなかったの?」 「待ってたのか?」 「う、うん。」 「さ、皆揃ったし、あの列に並ぶよ。」 涼と輝樹が待っててくれてたと喜ぶ雅臣と慧斗に2人はちょっとビビッてた事はあえて言わなかった。 長蛇の列に並び、その列が進むのを待つ。 絶叫マシーンは乗車時間が短いから、列の長さのわりには涼達が列に並んでから機体に乗り込むまで時間はかからなかった。 「涼、大丈夫か?」 「うん、まだ景色を見る余裕があるよー☆慧斗は?」 「俺は平気だ。」 「思った以上に頂上まで時間かかるね。」 涼達が乗り込んだ機体はゆっくりと進み坂を登っている。 始めは徐々に上昇する所から見える景色に興奮していたけど、頂上に近付くにつれて少しの恐怖心と緊張感が高まってきている。 機体の先頭が頂上に到達して悲鳴が次々に響き始め、登り切った機体が下りだしたのだと理解した。 涼達が座っている座席は真ん中より後ろの方で、前方から悲鳴が聞こえて少ししてから下りだした。 「「うわあぁぁぁぁー!!!」」 「わお♪」 「おッ」 下りると言うより落ちると言う感覚に思わず悲鳴がでる。 このマシーンに乗る前の絶叫マシーンより遥かに長い乗車時間なのだけど、機体が停車すると何だかもっと乗っていたい気持ちになる。 停車した機体から降りようとした涼はギクシャクする身体の感覚で、乗車中はかなり力んでいたんだと思った。 「涼君、どーだった?」 「怖かったけど楽しい!もう一回乗りたいかも☆」 「オレ、落ちる時に目ーつぶっちゃったからもう一回行く!」 「輝は負けず嫌いだもんなー」 「じゃあもう一回乗るか。」
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