三章

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≪またまた遊園地☆≫ 遊園地入り口には涼・充・優・母・父・祖父の他にその守護役もいてかなりの大所帯になっている。 「麗さんは絶叫マシーンは大丈夫ですか?慧斗、麗さんをちゃんとエスコートして差し上げるんだぞ!」 「「………」」 そして、何故か慧斗と慧斗の父がいる。 家族全員で何処かに出かける事の無かった涼は、今回はちょっと楽しみに思っていたのだけど、慧斗達がいる事で人見知りな麗を演じなければいけなくなって、ちょっとテンションが下がってしまう。 慧斗の父に気付かれないように涼はそっとその場を離れ、爺様と話している充と優の所へ来た。 「充兄さん、何で慧斗がいるの?」 「爺様が呼んだらしいけど…?」 「え?」 「ん?ダメじゃったかの?涼は慧斗君が嫌いか?」 「うんん、嫌いじゃないよ。でも、今の僕は麗で…」 「好きなんじゃろ?」 「「爺様!!」」 麗と涼が同一人物とバレてはいけないと言おうとした涼の言葉を祖父は遮り、祖父の発言に充と優は驚き声を上げた。 祖父と兄達のやりとりを不思議に思いながら、涼は慧斗と雅臣の所へ移動した。 「麗さん、此処は絶叫系のアトラクションが多いですが、乗り物は大丈夫ですか?」 「…」 「じゃーとりあえずアレ行っとく?」 「雅臣、お前…。」 慧斗の質問に首を縦に振って答えた涼に、雅臣が前回連続で乗った巨大ジェットコースターを指差した。 しかし、麗が涼だと気が付いていない慧斗は雅臣の言動に女性にいきなりアレは無理だろうと非難の目線を送っているのを、涼は内心麗としてアレは拒否するべきか?でも、乗りたいし…と葛藤しながら見ていた。 「麗ちゃん、絶叫系大丈夫だよね!」 「麗さん、本当に絶叫系は大丈夫なんですか?」 2人の問いに、大丈夫だと言葉で答える変わりに涼は笑顔を作ったけど、その笑顔がちょっと引きつってしまったせいか、慧斗は小さく息を吐き行くぞと言って歩き出した。 「慧斗にやっぱり本当の事を言った方が良いと思うんだけど…」 「んーオレもそー思う。今の現状って涼君が楽しめないでしょ。」 「う、ん…そうなんだけど、慧斗が僕に敬語で話すのが他人行儀で寂しいんだ。」 慧斗に付いて歩きながら、涼と雅臣はコソコソと慧斗に聞こえない程度の声で話をする。
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